2018年になりICO(Initial Coin Offering)が日本でもますます加熱してくることが予測されます。ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング / 新規仮想通貨公開)とは、資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨を発行販売し、資金を調達する手段やプロセスのことを指します。
「クラウドセール」や「プレセール」、「トークンセール」などと呼ばれるものが期間限定で開催され、先行購入者には金銭的メリットがとてもあるように思えます。
しかし、現実には金だけを集めて運営実態が全く見えてこないICOもあります。詐欺が疑われるICOが増えていることから、日本の金融庁が注意を喚起するなど、新規仮想通貨公開市場は玉石混淆であると言えます。
SPNDLE(スピンドル)も詐欺なのでしょうか?
SPNDLE(スピンドル)は日本のシンガーソングライターであり、音楽プロデューサーであるGACKT(大城ガクト)が関与していることから話題になりました。スピンドルの仕組みや仮想通貨の性能は、既に他サイトで文献を読んで理解されているかと思います。
SPNDLEの中身については、本当に言葉を噛み砕いて、簡単にこのサービスがどんなものかと分かり易く言えば、仮想通貨ユーザーと仮想通貨ヘッジファンドを結ぶ、【仮想通貨出会い系サービス】だそうです。
これが一番、分かりやすい表現だとGACKT氏の公式ブログに書かれてあります。なお、スピンドルの日本語ホワイトペーパーはこちらで公開されていますので、興味があればご一読ください。
それよりもスピンドルが詐欺を目的として行なわれているICOなのかどうかです。
GACKT本人は詐欺を真っ向から否定
スピンドルが詐欺だと騒がれた後に、GACKT本人はブログで詐欺を真っ向から否定しています。
一部の、カキコミやネット情報を見て、
『これはヤバい!詐欺だ!』
と投資を止める方たちもいらっしゃると思います。はい、それで結構です。
投資はあくまで自己判断で行うものです。
無理に強要されてするものではありません。ボクの方に直接、
不安になって投稿してきた方もいました。『今回の構成メンバー大丈夫?過去を知らないんじゃないの?』
あのですね。
ボクも事業に取り掛かる前には、
誰と仕事をするのか、
過去にどんな履歴があるのか必ず確認します。
ご安心ください。その上でボク自身もボクのグループも、
GACKTの名前を出してもいいと判断したのは
その事業の確証と大きな可能性があるからです。間違っても詐欺になるようなことに、
ボクの名前を出すことをボク自身がすると思いますか?
(出典:GACKT Official Blog)
今回の構成メンバー大丈夫?過去を知らないんじゃないの?について
SPINDLEを扱うBLACK STAR Capital社、BLACK STAR &Co.社、SPINDLE Fractal Zone社の表権3社のコアチームメンバーの中に問題とされている人物がいます。
GACKTのICOについて、チームのコアメンバーを構成するブリオンジャパンおよび全面バックアップする「BLACKSTAR&CO」などを調べると
金融庁から昨年、「登録取消」の厳しい処分を受けた会社や人物との接点を感じるような、感じないような……気のせいですかね pic.twitter.com/hDVPe5zc4d
— 高城泰 (@takagifx) 2017年12月27日
株式会社BLACKSTAR&CO(旧 ファルゲン・インタラクティブ合同会社)とその関係者が株主になってるドラグーンキャピタル株式会社は過去に証券取引等監視委員会から行政処分(登録取消し)を受けているようですね
ドラグーンキャピタル株式会社に対する行政処分についてhttps://t.co/t1d81qsUv2 pic.twitter.com/KvDHaIJoyA
— ㊙️Benkiman (@bit_weapon) 2017年12月26日
過去に行政処分(登録取消し)を受けた人物を信頼するかどうか?
人は誰でも失敗をします。それは投資の世界でもそうですし、GACKT自身も過去に投資詐欺で騙されたこともあるそうです。スピンドルを全面的にバックアップしているメンバーの過去はどうあれ、同じ失敗をするのか、同じような詐欺を働こうとしているのか?
万引き犯が1回目で捕まることが少ないように、詐欺も同じだと考えられます。発覚しているのは一部分であり、まだまだ見えていない黒い部分があるのかもしれません。関東財務局によるドラグーンキャピタル株式会社に対する行政処分についての文献を読むと悩ましい内容が書かれてあります。
関東財務局によるドラグーンキャピタル株式会社に対する行政処分について
ドラグーンキャピタル株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号2010001138381、第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業)は証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が平成28年5月31日付で発せられています。検査の結果、多数の問題が認められたのですが、もっとも投資心理として悪く作用する項目を抜粋します。
(4) 顧客に対し虚偽の運用報告書を交付する行為
スナイパーズ社の業務執行社員である当社は、同社が組成したドラグーン日本ストロングファンドについて、日経225先物取引等による運用を開始した平成26年1月4日以降、取引による損失からファンド財産が大きく毀損していたにもかかわらず、毎月利益が生じているとする虚偽の内容の運用報告書を顧客に交付している。
取引による損失からファンド財産が大きく毀損していたにもかかわらず、毎月利益が生じているとする虚偽の内容の運用報告書を顧客に交付です。顧客に対して儲かっていると嘘をついていたようです。
(5) 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない状況
上記のとおり、当社は、多岐にわたって投資者保護上重大な問題のある行為を行っており、当社において当該行為を行った宇田代表に法令等遵守意識及び投資者保護意識は皆無である。また、当社においては、ほとんど全ての業務を宇田代表が一人で行っており、他に宇田代表の行為を牽制し適切に業務を運営するための人的基盤は整っていない。さらに、当社は、金融商品取引業の登録を受けて以降、当該業務を全く行わず、当該業務に必要な社内規則の制定をはじめとした業務管理態勢は、全く整備されていない。上記(1)から(4)のとおり、当社の業務運営は、投資者保護上重大な問題があり、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
また、上記(5)のとおり、当社は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、このような当社の状況は、金融商品取引法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
記
(1) 登録取消し
関東財務局長(金商)第1032号の登録を取り消す。(2) 業務改善命令
1) 本件に関与した全ての適格機関投資家等特例業務届出者に対し、今回の行政処分に至った経緯及び事実関係を正確に説明し、誠実に対応すること。
2) 上記適格機関投資家等特例業務届出者に対し、ファンドの出資者に、今回の行政処分の内容について説明を行うよう要請すること。
3) 上記適格機関投資家等特例業務届出者及び出資者からの問い合わせに対し、適切に対応するなど、投資家保護のために万全の策を講じること。
4) 上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面により随時報告すること。
ドラグーンキャピタル社は以上の内容から、関東財務局長(金商)第1032号の登録は取り消されました。SPINDLEの運営会社である株式会社BLACKSTAR&COとBullion Japan(ブリオンジャパン)株式会社の取締役に宇田修一氏が就任していることを考えると、知名度のあるGACKT氏を広告塔として投資家から資金調達をしようとしていると考えられます。もしかするとGACKT氏に広告費などの金銭や、金銭的権利を提供し広告塔として起用している可能性もゼロではありません。
このBullion Japan社は、もともと行政処分を受けたドラグーンキャピタル社が貴金属取引を行う英・bullionvault(ブリオンヴォールト)社との提携のために設立した子会社ですので、そのBullion Japan社がこの「SPINDLE」の運営に参画するのであれば、自動的にドラグーンキャピタル社の宇田修一さんも深く関わり合いを持つと判断してよいと思います。(出典:タレント「GACKT」が仮想通貨ICO参入も問題続発、フィンテックバブルはどうなるのか山本一郎 | 個人投資家・作家)
スピンドル自体が詐欺ではなくスピンドルを騙る詐欺が多発
スピンドル自体はまだICOの段階ですから、詐欺だと確定することは早計です。資金を調達している段階です。2次的な問題はスピンドルの情報公開禁止戦略を悪用した詐欺業者が増えてしまったことです。
SPINDLE事務局です。
SPINDEL代理店を装い、ウェブサイトやLINE、FacebookなどのSNS等を介して、資金を振り込ませたりしようとする詐欺事例が発生しています。… https://t.co/nZZELVx1lT— SPINDLE (@SPINDLE_ZONE) 2018年1月13日
正規ルートでスピンドルを買うにはどうしたら良いのかが全く公開されていないため、それを欲する投資家がインターネットなどで情報を集めはじめました。そこに目をつけた詐欺師達は、スピンドルを買いたいという投資家のその欲求をうまく使えばお金を騙し取れると考えたのです。
オフィシャルのSNSでは、「SPINDLEの販売代理店として、クレジットカードや銀行振込及び現金による販売を行うウェブサイトは、全て不正サイトになります。SPINDLEでは、正規申込サイトからのETH/BTCによる交換予約申込のみ承っています」と注意喚起がなされています。
株式会社HRHとガチで詐欺を働いている可能性はないだろうか?
スピンドルの公式サイトPDFにも調査の報告が上がっています。
正規代理店と名乗っているのに、顧客のお金をスピンドル購入代金として運営会社に入れずにどこか他に回してしまったり、代理店の権利を勝手に他人に使用させたり、詐欺まがいの行為がSPINDLEの「代理店事情」として浮かび上がりました。
この株式会社HRHの代表取締役のフェイスブックでは、非常にきな臭い文献がタイムラインのトップに表示されてあります。
この内容は国税が潜入捜査を行えば瞬時に脱税で逮捕できそうな雰囲気しか感じられません。
「一人歩きには十分お気をつけください」と脅迫か?
投資家で作家の山本一郎氏がこれらのスピンドルの問題についてブログ記事で書いたところヤフーニュースに掲載されました。その後、GACKTは公式ブログで、「帰り道の一人歩きには十分お気をつけください」と事業を邪魔する者を脅して物議を醸しています。
昨年末、タレントの「GACKT」が参入を発表した「SPINDLE」という名前の違法ICOと仮想通貨取引について、問題を整理した記事を当ヤフーニュースに掲載したところ、どうもGACKTが本人のオフィシャルブログで年始に本件への反論と執筆者である私に対する脅迫文書を掲載したとのことです。
タレント「GACKT」が仮想通貨ICO参入も問題続発、フィンテックバブルはどうなるのか(Y!ニュース 山本一郎 17/12/30)
GACKTのブログでは、私に対して「ココロからの殺意の気持ちを込めて」「帰り道の一人歩きには十分お気をつけください」と綴られており、ネットニュースでも掲載されております。
偏った解釈と情報を自信満々でアップしてくださる一部の方達と、
SPINDLEを悪用して詐欺などを企てる方たちに
ココロから哀悼と感謝と殺意の気持ちを込めて
この始まったばかりの一年を
どうか無事にお過ごしできることを刹那に願っております。
帰り道の一人歩きには十分お気をつけください。
出典:(魚拓)新年の改めての挨拶とSPINDLEファンのみなさんへ
スピンドル運営本社はやはりタックスヘイヴンを活用か?
高額所得者がタックスヘイヴンに資産を隠し、租税回避をしていると問題視されたことがありました。「パナマ文書」は記憶に新しい言葉かと思います。言うまでもなくスピンドル運営もタックスヘイヴンを活用して租税回避をしようとしていることが伺われます。
Tax Haven(タックスヘイヴン) の Havenは「港、避難所」のことであり、日本語では「租税回避地」と訳され、世界中で8地域、約40の国に存在します。ガーンジー島もその1つです。これらの地域は Off-shore Financial Center(オフショア金融センター)と呼ばれ、具体的には以下の特色を持っています。
- 高利回り
- 複利
- 無税
- 顧客の秘密厳守
GACKTの本名は違うしポーカーでは大負けしている?
知られざる一面の発表には様々な反響が寄せられているが、なかでも驚きが大きいのが、GACKTさんが本名だと明かした「大城ガクト」の名前。「本名もきらびやか」「カッコ良すぎ」「芋臭い名前期待したのに」「大城さんで一気に親近感わいた」など、関心を集めている。
しかし、これまでインターネット上を中心に、本名は「岡部学」「大城学」との噂がまことしやかに広まっていた。そのためツイッター上には、
「GACKTの本名が私の知ってるやつと違うw」
「岡部学(おかべさとる)から大城学(おおしろがく)に改名したんじゃなかったっけ?」
「えっ、GACKTの本名ガクトなの、、、岡部学じゃなかったのwww大成ガクトとかカッコよすぎじゃない???」
「ガクトの本名ってほんま?昔オタクしてたからめっちゃ調べたけど噂と全然違った」(出典:GACKT「本名」、「岡部学」「大城学」じゃなかったの!? 本人が仮想通貨事業参画のため公表)
GACKT氏はカジノのポーカー(テキサスホールデム)好きでも知られており、勝利自慢も多くあります。しかし、噂では「負け額も相当なのでは、音楽活動もほとんどしていないくて収入源が気になる」などとネットでは不安視する声もあります。
また、GACKT氏はこのように投資に対する意見も言っています。
日本人の多くは偏っていて
大きく欠けている思考が存在する。【投資】だ。
➖投資とは➖
生活を豊かにするためのもの。生活を豊かにするために投資をし
キッチリと自分のやるべき仕事をする。これは豊かなライフプランを実現するためには
絶対的に必要な思考だ。(出典:GACKT Official Blog)
スピンドルはどれだけの資金を調達したいのか?
100億SPD(トークンの単位)を発行予定とのことです。Twitterである方が試算したところ、今の相場で1SPDが約84円だとして、8,400億円をこのICOで調達しようとしているようです。初期の紹介者への紹介のインセンティブを高めるため、時期を区切り約1.5倍ずつトークンの売り出し価格を高くしようとしているようです。現在の値段で8,400億円だと、最終的には時価総額をいくらに設定しようとしているのかが全くもって不明です。
詐欺ではないものを詐欺だと決める行為は名誉毀損か?
ところで、詐欺がどうかがわからないスピンドルですが、詐欺かまだわからないものに対して詐欺だと情報を発する行為は名誉毀損などに該当するのでしょうか?
名誉棄損罪の構成要件
名誉棄損罪は刑法第230条第1項で「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。この条文の文言だけでは、名誉棄損罪に当たるかどうか判別が難しいでしょうから、下記に噛み砕いて説明いたします。
「公然と」とは、不特定または多数の人が認識し得る状態のことをいいます。ただし、特定の小数であっても、それらの人がしゃべって伝播する可能性が予見でき、伝播されることを期待して行えば、「公然と」の要件は満たします。例えば、SNSで少人数の友人に向けて「拡散希望」等と添えて書き込むケース等がこれに当たるといえます。
また、「事実を摘示し」の「事実」は、「その事実の有無にかかわらず」とあるように、内容の真偽は問いません。なお、事実の摘示がない場合は、侮辱罪の成否が問題となります。
そして、「人の名誉」の「人」には、法人や団体も含まれます。ですから、会社の名誉を毀損された場合でも、名誉棄損罪に問える可能性があります。しかし、「○○県民」というような漠然とした集団については含まれません。また、「名誉」とは社会的評価のことです。単に自尊心を傷つけられたというだけでは、名誉棄損罪に問うことは難しいです。
名誉棄損罪における免責
名誉棄損罪の構成要件に該当する場合でも、次の3つの条件をすべて満たす場合は、免責されます。
- 公共の利害に関する事実にかかわるものであること
- 専ら公益を図る目的があること
- 真実であると証明されるか、真実であると信ずるについて相当の理由があること
つまり、たとえ名誉毀損に当たるような表現でも、1~3の条件が満たされれば、不法行為とはならず、「損害賠償の対象にもならない」ということです。例えば、政治家の汚職に関する記事を書いて、その政治家に「名誉毀損で訴えられた」といった場合が思い浮かびます。その場合、1と2は大丈夫だと思いますが、問題は3です。その事実があるかどうか、真実であった場合は名誉毀損に当たりません。
編集後記
ICOや草コインの仕手は仕込みの段階で身内以外の人間にその株や通貨が買われてしまうことを嫌がる性質があります。ADAコインと同じように大きな取引所に上場できれば結果オーライな訳です。それまで詐欺だと言っていた者を見返すつもりでしっかりしたプランを立てているICOは良いのですが、運営者側が根本的に資金を騙し取るつもりで行っていると非常に危険です。
同意できるのは、投資は自己責任という部分のみです。
ICOは事業計画書とその後の事業見通しを書けば大義名分が出来上がり、少しでも資金の運用や事業計画を進めていれば詐欺にはなりません。そのため、詐欺師にとってはこれ以上美味しい騙しのネタはありません。そして、10〜20億円集めておきながら、「やっぱりダメでした」が普通に通用する世界です。反対に、上手くいくと詐欺にならないという世界です。
スピンドルが今後どこかの取引所に上場するかはわかりません。「初詣のお賽銭として投げ銭でもしておこう」くらいの気持ちで、トークン購入後は過剰に期待せず、放置しておくのが一番だと言えます。
あと、このガクトコインですが、編集長が好きなキャバクラのキャバ嬢たちにも流行り出しているようです。それもバースデーイベントで1日で1億円以上を売り上げたと噂された北新地の元キャバ嬢(門りょう)なども巻き込んでいるので、金があっても使い道を深く考えない所からまずは集金しようという魂胆なのかもしれません。
最新記事 by ビットコイン新聞編集部 (全て見る)
- 【超危険】bitFlyerで3BTCに満たない送金で口座凍結され出金拒否? - 2023-02-07
- KOKPlayウォレット運用収支公開 | 2023年1月11日 - 2023-01-11
- 2023年版 | KOK Playの出金方法を解説します(日本語ページ) - 2023-01-07
- 出川組 VS 剛力組の抗争勃発か!?仮想通貨取引所の仁義なき広告戦争!!傍観するローラ組 - 2018-02-16
- 確定申告の時期到来!ビットコイントレードにおける利益が出ている場合について - 2018-02-15
この記事へのコメントはありません。